チーフコンサルタント 齋藤隆之

メガバンクに20年、外銀に7年間在籍し、日本企業様のグローバル資金管理(キャッシュマネジメント)に携わって参りました。20年以上前に広まった「見える化」という言葉が現在でも使われており、残念ながらあまり進展していないような印象を持っております。この1年ほど、アドバイザリーメンバーの方々と、様々な日本企業様とお会いして実態把握に努めましたところ、グローバル資金管理の土台となるTMS(Treasury Management System; 資金トレジャリー管理システム)/ ERP (Enterprise Resource Planning; 業務基幹システム)の導入を決めても、海外銀行から口座情報を取得する交渉・手続で疲弊しておられる方が意外に多いことがわかりました。銀行との情報接続はあくまでも準備段階であり、取得した情報を基にモニタリングをして財務戦略を立てるという本来の業務の手前の作業です。確かに、海外の銀行は国ごとに慣習も異なり、またデータには金融機関独特のルールがあることから、事業法人様には荷が重い部分があるかと思います。ただ、ここで立ち止まっていては、本来のグローバル資金管理の効果は発揮できません。そこで、この部分のご負担を軽減して、少しでも早く本来の財務戦略業務に進めるよう、ご支援するサービスを始めようと考えました。
銀行は国内・海外ともに自行の口座を使っていただくことで主力化を図ることを狙っていますので、他行との情報接続(マルチバンクと言います)をあまり良しとしない傾向にあります。私の過去の経験でも、これを対応しないと国内取引も減らされてしまうような危機的状況に陥らない限り、他行との情報接続には消極的でした。一方で、メガバンクでは拠点のない地域のアライアンス拡大のため、東欧の地場銀行20数行と契約・データ疎通を実現したという稀な経験をさせていただきました。現在の東京共同会計事務所では、スリランカで立ち上げた日本企業向けのSPC支援体制の一環として、現地の3大銀行と口座情報・送金を含むデータ接続を行いましたが、上述の銀行での経験が活きて、短期間に円滑に完了することができました。
実際の企業様のグローバルな活動におかれましては、複数の銀行を利用することの方が一般的かと思います。その際に、統一した資金管理体制を構築するには、まず口座保有銀行から電子的な情報を取得するとことから始まります。その交渉・契約・データテスト等のお手伝いを経験者がご提供することで、日本企業様のグローバル資金管理の効果が一日も早く発揮されることを願ってやみません。チーフコンサルタント 齋藤隆之
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